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三月中旬、某日
「…多少(多少)遅く鳴ったしちと違うが
まあ、その、なんだ。既に只のプレゼント
なんじゃねぇかとも思うわけでもあるんだが
……まだ寒いから旨いだろ。多分」
そしてテーブルの上に並べられたのは
一升瓶に入った――――なんと甘酒
無論お手製
チョイスの理由は謎
編んだ手袋は残念ながら指すら形にならず頓挫
そんなはなしもあった。いわないけど。
(見遣る)
「……成程、甘酒か」
「普段飲まんからな、興味はある」
「……不思議な甘さが、する」
「―――…ちょっと待ってろ」
(ひなあられをどこからともなく持って帰ってくる)
「否、その。雛祭りの印象がある、甘酒には」
「……有難う、旨かった」
一緒に甘さを味わって。
滅多に浮かべない、緩い笑みなんぞ浮かべたのかもしれない。
来年は、さあ、どうしようか。
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